この人にきいてみた
原田久美子(はらだ くみこ)さん カフェ「めしと、つけもんと、パンと、」
「久美子さんに会いたくなって。」
お客さまがくちぐちにそういって訪れる、カフェ「めしと、つけものと、パンと、」。
カフェをきりもりする原田さんのことを、イベント出店でファンも多い焼き菓子工房「KURURI」のオーナーさんとしてご存じの方も多いかと思います。
教室の雰囲気を大事に残して整えられた「めしと、つけもんと、パンと、」が、旧福住小学校の校舎にオープンしたのは昨年10月。
家庭料理のシンプルな味わいと原田さんの人柄に魅かれ、地元の人々がたくさんやってきます。
【お世話になった学校ですから】
2016年3月に閉校となった旧福住小学校。
地域活性化の拠点としての校舎の活用を検討する福住小跡地活用運営委員会が立ち上がり、さまざまな取り組みが計画されました。
カフェのオープンはそのひとつです。
「子どもたちがお世話になった学校ですから、ほうってはおけなかった。」
篠山市と神戸大学が連携し、起業を中心にさまざまな講座を展開する篠山イノベーターズスクールの卒業生でもある原田さん。
旧福住小学校では、カフェ以外にも食品加工所やシェアオフィスといった計画も進み、スクールで得た仲間もたくさん活躍しています。
もともと、カフェを開くことに興味があった原田さん。
小学校でのカフェ運営に手を上げるには、このスクールで得た知識や仲間の存在が大きいのですが、一番の原動力となったのは、旧福住小学校への思いだといいます。
じつは原田さんの子どもたちは、福住小学校の卒業生です。
「子どもたちが通った小学校での日々は、保護者にとっても大切な記憶です。
閉校となってしまっても、そこに対する深い愛着は卒業生やPTAにしかないもの。思いはひとしおです。学校をほうってはおけないという気持ちもありました。」
【福住の味を】
福住でとれた新鮮な地物野菜や、おいしいお米を味わってもらいたい。地元のひとや卒業生が気軽に立ち寄れる場にしたい。
そう考えた原田さんは、おかわり自由のごはんとお味噌汁、漬物を基本に、週替わりの一品を足す形での食事メニューをだすことにしました。
折り紙付きのおいしい米ときれいな水で炊いたごはんもよそでは味わえないおいしさですが、家庭料理を思わせるやさしい味わいの一品も好評で、
給食のお盆にのせて出される郷愁あふれるランチに、写真を撮ってSNSにアップする方も多いとのこと。
昨年の年末には、調理師のお母さまに仕込まれた確かな料理の腕を見込んだ地元の方に頼まれ、全国津々浦々のお雑煮を作って食べ比べをするイベントが開催されるなど、原田さんならではの、地域にとけこんだ活動も展開されています。
【「、」に込めた思い】
そんな話をしているうちに、隣接する幼稚園から帰り仕度をした子どもたちがわっと飛び出してきました。
「ここの幼稚園も移転になるので、子どもたちの姿を見ることができるのは3月までです。さびしくなりますが、」
原田さんは寂しがってばかりいてもしかたがないですしといい、校舎内に導入された食品加工の設備でできるジビエの缶詰や柿のドライフルーツのこと、またそれに関わってくださる兵庫県立篠山東雲高校のみなさんの協力など、校舎を軸に展開しているさまざまな活動を教えてくださいました。
原田さん自身も、カフェとお菓子工房とで多忙を極めるなか、本格的に勉強をはじめたこともおありだとか。
「、」で終わっているカフェの名前のさきに、何がつづくか楽しみにしていてくださいね。
そういって笑う原田さん。ええ、期待していますとも!
めしと、つけもんと、パンと、
〒669-2513 兵庫県篠山市福住347 営業時間 木、土、日 11:00~16:00
2019年1月10日
聞き手 細見 薫