この人にきいてみた

金崎美和(かなさき みわ)さん 里山工房くもべ「K’s GARDEN」オーナー

廃校舎を活用した「里山工房くもべ」で1階の廊下を進むと見えてくる 2 年生教室
入り口には、レトロでおしゃれなミシンと「K’s GARDEN」の文字が…
扉を開けると、そこには思わず「すごい…!」と声が出てしまうほど様々な種類の可愛いハンドメイド作品が並んでいました。

今回は、ここ旧雲部小学校の卒業生であり「K’s GARDEN」のオーナーである金崎美和さんにお話を伺いました。

【まずは「K’s GARDEN」について】

「K’s GARDEN」は、ハンドメイド体験教室&ハンドメイド雑貨屋さんです。幼少期からものづくりが好きで、ミシンで布小物を作るのが趣味だったという金崎さん。以前はよく遠方のイベントなどに出店されていたそうです。そんな時に偶然、里山工房くもべの 1 階に空き教室が。ご家族からの提案により、「とりあえず借りてみよう」と部屋を借りたのが始まりだそうです。現在は、お花関係・布小物・アクセサリーなどのハンドメイド雑貨の販売と、子どもたちが楽しめるようなワークショップを開催。また、作家として活躍したいという方に向けて認定講師の資格が取れる講習会や、ショップを開くための講習会なども行っています。
さらに、ショップ内に並ぶ商品をよく見てみると、リンゴ箱に入っているものが。これは全国のハンドメイド作家さんの商品を受託販売する「リンゴ箱レンタルBOX」という取り組みだそうです。

【まったく同じものを2つは作らないこと】

金崎さんに、ハンドメイド商品を作るうえで大切にされていることを尋ねました。すると「やっぱり 1 点物にはこだわっているかな。同じものを注文されても、素材やパーツを変えてまったく同じものを 2 つは作らないことを大切にしている。」との回答が。この時の金崎さんの優しい表情や言葉から、K’s GARDEN の商品に温かみを感じるのは、1つ1つ丁寧に、愛情や思いを込めて作られているからだと感じました。

【K’s GARDEN の魅力は自然の BGM】

今回取材を行ったのは、夏の日差しが照り付ける 8 月中旬。取材時には、外からセミの鳴き声が聞こえてきました。すると、金崎さんからこんなエピソードも。
「阪神間から来て下さるお客さんが多くて、窓から入ってくるオニヤンマや鳥を見て喜んでくれる。『ここは BGM なんて掛けたらもったいない。この自然の鳥のさえずりや虫の鳴き声がすごくいいよ。』と言ってもらったことが印象に残っている。」
一点物のハンドメイドの魅力と「雲部だからこそ」の魅力が掛け合わさって生み出される心地よさに、また訪れたいという気持ちが溢れてきます。

【くもべマルシェの開催について】

K’s GARDEN での販売やワークショップに加えて、現在、くもべマルシェの開催に向けて取り組まれている金崎さん。自身はこれまでずっと出店する側でしたが、「せっかく今マルシェに適している場所にいるんだから、ここでマルシェを開催してみたい!」と思ったことがきっかけとなったそうです。そこから、くもべマルシェの Instagram アカウントを作り、情報発信をスタート。9 月に開催された第 1 回目では、なんと出店者の募集を呼び掛けてわずか 1 日で定員に達する人気ぶり。

地元からも遠くの場所からも年代を問わずいろんな人に来てもらえるように、出店者さんもジャンルを問わずに募集しているそうです。その中でも「フード」がポイントになると語る金崎さん。キッチンカーでクレープを販売されている方を見つけた時に「いつか、くもべでマルシェをするときに来てくれませんか?」と前もって依頼されていたというエピソードからも、マルシェへの熱い思いが伝わってきました。

【マルシェを通じて地元を活性化】

金崎さんは、今後は雲部だけでなく東部 6 地区で順番にマルシェを開催してみたいとおっしゃいます。「近くでも住んでいなかったら実は知らないこともある。各地区の人と話し合って、6 地区それぞれの特色を活かしたマルシェをじっくり考えて実現したい。」というお話も。そうしてマルシェを通じて、雲部、東部6地区の認知度を上げることを目指していると語ってくれました。

【丹波篠山で生まれ育ち、現在も地域で活躍する金崎さん。丹波篠山で生活する中で感じる魅力】

丹波篠山の魅力は自然が豊かで空気がきれいなところ。特に日が沈んでから夜空一面に広がる星を見ることができるのは、丹波篠山ならでは。当たり前だと思っていたこの光景が都市部に行ったときにはなく、改めて丹波篠山の魅力に気が付いたそうです。さらに、東部6地区に住む人の良さを尋ねると「優しい」との回答が。顔見知りが多く、会ったら話しかけることが習慣で、住民同士の距離が近く仲の良い様子が伺えました。

【いつも全力で前に突き進む力を持っている金崎さんの原動力は…】

実は私たちが金崎さんにお会いするのは今回が初めてではなく、里山工房くもべでの昼食後にK’s GARDEN を訪問したり、東部6地区シンポジウムにて顔を合わせる機会がありました。その時々に金崎さんからは溢れるパワーを感じていました。そこで常にポジティブに前進し続けている印象を持っていることを伝え、その原動力を尋ねました。すると金崎さんからは第一声に「家族」というキーワードが返ってきました。家族が自分の今の生活を支え、応援してくれているからそれに応えるような気持ちで毎日を大切に過ごしているそうです。その背景には過去の心理的・精神的な辛い経験の中で感じた、生きているだけで幸せという感情があったと言います。それからは「1度きりの人生、やりたいことをしたい」と行動し続けているそうです。

【今後の個人としての目標と丹波篠山の目指す将来像について】

インタビューの最後に今後の目標や将来像について尋ねました。個人の目標としては、K’s GARDEN をもっと多くの人に知ってもらうこと。東部6地区としては自分のようなものづくりをするクリエイターが集まる場所になればいいなあ、と考えているそうです。また、金崎さんの中ではマルシェを開催することが出来たということは、スタートラインに立てたというだけで、これからが勝負、という認識。ここにも金崎さんの向上心の高さが表れています。コロナ禍で制限が多いけれど今後も定期的にマルシェを開催して、今よりもっと SNS を活用することで自分自身が有名になり、丹波篠山の認知へと繋げていきたいという熱い思いを聞くことができました。

【移住者が増えることに関しての思いと移住を考えている人に対してひと言】

丹波篠山に来てくれる移住者に対しては、「ありがとうございます」の気持ちしかない!と受け入れ側としての前向きな姿勢が伝わってきました。自分よりも移住者の方が丹波篠山の歴史や地理に詳しく驚いたというエピソードも。

移住を考えるにあたっては、「丹波篠山ではやはり人と人との交流は欠かせないもの。それを苦に感じる人はしんどいかもしれないけれど、人とのコミュニケーションやイベントが好きな人にはとても向いている場所じゃないかな」「地元野菜がたくさんとれて、健康な食生活が送れる」「何もないけれどそれが良い!」と多くの人と交友関係を持っている金崎さんならではの回答を得ることができました。

お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

【金崎さんの一日】

朝:犬の散歩、子どものご飯・見送り、犬と遊ぶ
10 時~:里山工房くもべで K’s GARDEN オープン
ランチ:自宅もしくは里山工房くもべの定食
16 時:お店を閉めて18:00まで製作活動
夜:一日の仕事のまとめ

K’s GARDEN
~handmade studio Momo~
〒669-2404 兵庫県丹波篠山市西本荘 2-1 里山工房くもべ内 1 階 2 年生教室

2022年8月19日 
聞き手 兵庫県立大学環境人間学部 足立陽菜, 木村芽生, 新元里奈, 谷水さら