丹波篠山市東部六地区活性化シンポジウム

2022 年 7 月末、あっという間に過ぎ去った梅雨に代わって登場し、メラメラと私たちを照らす太陽。
この暑い夏の始まりに東部六地区でも熱いシンポジウムが開かれた__

「丹波篠山東部六地区活性化シンポジウム 過疎地域からの提言-過疎地域が目指す活性化の地域づくりとは-」と題して、兵庫県立大学教授三宅康成先生の基調講演「地域再生大作戦に見る地域の変化」と、実際に地域で活躍する方々を交えたパネルディスカッションが開催されました。

令和 4 年 4 月 1 日に丹波篠山市の一部、旧篠山町が過疎地域の指定を受けました。それをきっかけに 5 年前から発足していた東部六地区協議会は、これまでの活動をさらに活発化させ、これからの地域づくりについて考えると共に、丹波篠山市全体を活性化する取組みを推進しています。

また、それに伴い同年 3 月からは地元在住の 30~40 代の方を集めた活性化戦略会議(通称若者会議)も結成し、地域づくりのための取り組みの提案と実現を目指しています。

このような流れの中で、今回のシンポジウムは東部六地区協議会を主催者として開催され、冒頭には丹波篠山酒井市長、兵庫県小西県会議長、兵庫県丹波県民局今井局長からあいさつをいただきました。

酒井市長からは、旧篠山町地域の過疎地域指定を受け、丹波篠山市の東部地域における地域振興等の活動に対して、積極的なバックアップを行うという力強いお言葉をいただきました。

小西県会議長は、より良い地域を作るために 6 つの地区が連携して取り組むという東部六地区協議会の先進的な活動に注目しており、これからの活躍にも期待していると述べられました。

また、今井丹波県民局長からは東部六地区の持つ魅力と今後の可能性についてお話をいただき、さらに東部地域での種々の活動を後押しするための県民局の取組みをご紹介いただきました。

続いて、東部六地区協議会の佐々木会長より協議会設立の経緯について説明があり、次いで三宅先生から点から面への組織的な立ち上がりの意義についての講演がありました。「ひとつの地区のみで取組むのではなくて、いくつかの地区で、丹波篠山の場合 6 つの地区で補完しあうことで急激な人口減少という社会的な流れにうまく適応することができる。次の時代に対応するための創造が必要。」と広域的な取り組みの重要性を主張されました。

基調講演の後は、実際に地域で活躍する方々と三宅先生とのディスカッションを兵庫県立大学准教授杉山先生をファシリテーターとして開催しました。パネラーは、地元自治会長会出口代表、地元まちづくり協議会江坂代表、戦略会議今井座長、戦略会議金崎委員、東部六地区協議会佐々木会長です。

パネラーの方々は自分たちが関わっている各団体で、地域づくりに関する意見交換を積み重ねていることから、これまでに議論されてきた課題や将来に向けての取り組みについて発表がありました。

―今井座長「農業体験・マルシェ・交通が過疎から脱するうえで重要」
農業で実際に手が足りていない部分は、田植えや稲刈り等の楽しい部分だけではなくて草刈りなどの身近な作業。1番の問題点は誰がするか。「こんなことしてみたい!」が点で終わらないようにすることが今後の課題。交通の課題を考える時に 1 番難しいのは、年代によって困っていることが異なること。それぞれの生活スタイルやニーズに合う解決策を模索していくことが大切になる。

―金崎委員「雲部、さらには東部六地区で定期的にマルシェを開催したい」
くもべマルシェに加えて、将来的には各地区ごとにそれぞれの地区に合ったマルシェを開催したい。マルシェを通じて広い敷地を有効的に活用し、もっと多くの人に東部地域のことを知ってもらいたい。

―出口代表「子育て世代がここで子育てをしたいと思えることが大切」
保育園や幼稚園の老朽化が指摘されており、過疎が進行している今は子育てがしやすい環境の整備をする必要があると考えている。自治会でも住民の声に寄り添えるようにしていきたい。

―江坂代表「20~30 年後を見据えて今後の大芋を考えていく」
「楽しいことがしたい!地元の人が元気になれるようなことをしたい!」という思いで、高齢者や子どもたちのサポートなど、地域内で抱える課題に向き合ってきた大芋地区。今後は、20~30 年後の将来を見据えながら、他の地区と連携して 6 地区 1 体となって丹波篠山市の東の玄関口になれるように取り組んでいきたい。

―三宅先生「選択肢を広げておくことが大切」
農業と過疎化の関係性について考えた時、人手不足が深刻な問題になる日本に対して、ニュージーランドは気候や風土の影響もあり人口が少なくても維持できる。日本は、人が少ないという条件をいかにクリアできるかがポイントになる。技術面での問題には自動化を取り入れて対応し、心の問題のような部分は人と人とのつながりで補完していく。足りない部分を補う方法を様々な選択肢から考えられるようにすることが大切。

―佐々木会長、今井座長
「ハートピアセンターを上手く活用して、丹波篠山市の東の玄関口に」
ハートピアセンターは、立地がかなり良いにもかかわらず、人が集まっていない。ここを農産物販売所や高校生レストランとして、道の駅のような機能を持つ情報発信拠点とすることができれば、立地と場所を上手く活用することができるのではないかと考えている。

そしてこれらのパネリストの方々の意見を受けて、最後にファシリテーターの杉山先生からは、協働に向けて価値観を共有、理解し合うこと、集団主義を農村として大切にすること、東部六地区という広域的な組織としての連携を「わくわく」の気持ちを持って今後も継続して続けてほしい。そして過疎地域指定を卒業して次世代へとつなげてほしい、という熱いエールをいただきました。

100 名にものぼる参加者の熱い想いがあふれた今回のシンポジウム。
この日を経て、これからも前向きに進み続けるであろう東部六地区の今後がますます楽しみです。

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[開催概要]
丹波篠山市東部六地区活性化シンポジウム
主催 丹波篠山市東部六地区協議会
日時 2022年7月23日(土) 午後1時30分~
場所 丹波篠山市東部ハートピアセンター
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2023年2月13日 
取材 / 記事作成 兵庫県立大学環境人間学部 足立陽菜, 木村芽生, 新元里奈, 谷水さら